愛人契約

正直な話、出会い系サイトでゲットした彼女と初めて会った時、とんでもないプロフ詐欺のデブスが来たなあ、と思ったものだ。
ぽっちゃり系と言うよりもぼってり系、似ている有名人を考えると、相撲取りしか思い浮かばないような女性だった。
人をルックスで判断してはいけないのだけど、さすがにこれはナシだろうと思ったものだ・・・最初は。
そんな彼女と愛人契約を結ぶに至るのだから、どう転ぶかわからない。
何か一緒にいると安心するというか、包容力の大きさを感じたのだよね。大きいのは腹回りだけではなかったんだ。
ベッドの中ではかいがいしくて、僕をきちんと受け止めてくれる。彼女をハグすると大海原に揺られているような心地よさを感じたのだ。
デブにありがちな体臭の濁った香りはあったのだが、抱いているとそれさえもエッセンスに思えてきたりした。今から思えば、フェロモンだったのかもしれないね。
それから、僕は定期的に彼女と会うことにして、愛人契約をした。自分に、デブ専の気があったとは思わなかったな。
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はっきり言ってデートをすることには抵抗があった。さすがに並んで歩くには、恥ずかしいくらいのドブスだ。街中でブタを散歩させているように見えても仕方がないレベル。
だから、ホテルでセックスするだけの愛人契約だった。しかし、僕はそれで満足だった。彼女とホテルの狭い部屋でセックスしていると、ホテルがまるで自分の家のように思えてくる。おそらく、彼女の汗に混じった体臭が、幼少期に母親に抱っこされた時のような空気を味あわせてくれていたのだと思う。
しかし、丁度その頃に父親を亡くしたんだ。葬儀代金や相続税など愛人契約を続けるにはお金が厳しくなったこともあるが、まあ、身内が亡くなった後にセックスを続ける図太さを僕は持ち合わせていなかった。
彼女からは何回か連絡が入ったが、僕は丁重に断って、しばらくは喪に服していたんだ。そして、気分が落ち着いたころにこちらから連絡を取ろうとしたら、既に彼女は連絡先を変えていて、それ以来、彼女と会うことはなかった。
それから1年後、僕が彼女の姿を見たのはテレビのニュースだった。結婚詐欺グループの一員として逮捕されたという報道だった。
あんなデブスと結婚したがる男がいるんだな、という世論だったが、僕は苦笑するしかなかった。ここに、彼女のフェロモンに飲み込まれかけた男がいるからだ。
愛人契約とは
お金が欲しい